この記事ではデンソーの強みについて、図解を使いながらわかりやすく解説します。
デンソーはトヨタグループに属する自動車部品メーカー。
トヨタグループに属しながらトヨタ以外の世界の主要な自動車メーカーにも部品を供給する日本トップ、世界でも有数のメガサプライヤーです。
デンソーなぜ世界中の自動車メーカーから選ばれているのか?
その強さの理由を見ていきましょう。
この記事は以下のような人におすすめ!
- デンソーに就職したい。
- 自動車部品業界に興味がある。
- デンソーの強み、技術力を知りたい。
月に5万人以上の就活生に読まれる当サイト運営者トシが『デンソーの強み』を紹介しますよ!
データは以下を参照しています。
- デンソー 統合報告書 2020年3月期
- デンソー 事業説明会 2021年度 環境戦略
- デンソー 事業説明会 2021年度 安心戦略
- デンソー 事業説明会 2021年度 ソフトウェア戦略
- デンソー 事業説明会 2021年度 企業価値創造に向けた成長戦略
- デンソー 決算説明会プレゼンテーション資料 2021年3月期
- デンソー 会社案内パンフレット 2021年1月
- デンソー 企業サイト
- 就職四季報
- 会社四季報 業界地図
さらに、日経ビジネスや日経XTECHなどのビジネス向け経済誌から得た情報も加えながら、それぞれの強みについて詳しく解説していきます。
また、デンソーの6つのコア事業についても、わかりやすく説明していきます。
デンソーの強み①世界の自動車メーカーに認められた技術対応力
デンソーの強みの1つめは、世界の自動車メーカーに認められた技術対応力です。
2021年3月期決算報告や2020年度有価証券報告書から自動車メーカー傘下の主要部品メーカーの所属グループ向け売上比率を見ていきます。
- 【トヨタグループ】デンソー:51%
- 【トヨタグループ】アイシン:61%
- 【ホンダグループ】テイ・エステック:91%
- 【日産グループ】日産車体:98%
デンソーのトヨタグループ向け売上比率は51%。
同じくトヨタグループ主要部品メーカーの1社であるアイシン、ホンダグループのテイ・エステック、日産グループの日産車体と比較しグループ依存が低いことがわかりますね。
特定の自動車メーカーへの依存度の低さは事業の安定性につながります。
デンソーはトヨタグループの部品メーカーでありながら、トヨタ以外の自動車メーカーにも多くの部品を提供しており、自動車部品メーカーの中でも安定性はバツグンです。
またトヨタ以外の売上比率を見てみると、ホンダ、ステランティス、GMなど日本国内だけではなく、世界中の主要自動車メーカーに部品を提供していることもデンソーの強みと言えます。
デンソーが世界中の自動車メーカーに採用されている理由
では、なぜデンソーの部品が世界中の自動車メーカーに採用されているのかについて見ていきます。
デンソーは自動車関連を中心とした6つのコア事業で構成されています。
環境に配慮し、最小限のエネルギーで、安全で快適な空間を提供する。
- カーエアコン
- コンデンサ
かんたんに言うと…
熱や空気をコントロールして快適な空間をつくる仕事
クルマ本来の走る喜びと環境性能の両立。その相反する課題へのソリューションを提供する。
- ガソリン直噴インジェクタ
- 高圧ポンプ
かんたんに言うと…
クルマを動かす力・仕組みをつくる仕事
豊かな環境と走る喜びをかなえ、すべてのモビリティの電動化を支える。
- モータジェネレータ
- パワーコントロールユニット(インバータ)
かんたんに言うと…
クルマの電動化だけではなく航空機など、あらゆるモビリティ(乗り物)の電動化を進める仕事
すべての人が安心して快適に移動できる社会を実現する。
- 画像センサ
- ミリ波レーダ
かんたんに言うと…
交通事故ゼロ・交通渋滞ゼロを目指し、安心・安全をつくる仕事
環境に優しい、快適で安全なモビリティと社会の実現に向け、半導体・センシング技術で業界を牽引する。
- パワーカード
- 車輪速センサ
かんたんに言うと…
クルマの頭脳(半導体)と目(センサ)をつくる仕事
培った技術にこだわり、ものづくり産業の生産性向上と社会生活の質向上に貢献する(FA:ファクトリー・オートメーション)。
技術と発想を掛け合わせ、すべての人が豊かで安心・安全に暮らせる社会の実現に貢献する(農業)。
- 垂直多関節ユニット(FA:ファクトリー・オートメーション)
- ハウス栽培向け環境制御システム(農業)
かんたんに言うと…
クルマで培った技術をもとにデンソー独自の新しい価値を創造する仕事
出典:デンソー 統合報告書 2020年3月期
つまり、デンソーはエンジン、ブレーキ、エアコンという従来のクルマに求められてきた
「走る・曲げる・止まる」と快適性に加えて、電動化と自動運転の技術に強み
を持っており、CASE(ケース)に求められるクルマのあらゆることを知り尽くしていると言えます。
CASEとは…
- CASEは、2016年にパリモーターショーでダイムラー(ドイツ)が中長期戦略の中で初めて使い、大きな注目を集めた言葉である。
- Connected(コネクティッド):通信機能を意味し、クルマの状態や道路状況などのデータを収集・分析したり、音楽や映画などをさらに楽しめる。
- Autonomous(自動運転):自動でクルマを走らせる技術。すでに多くのクルマが搭載している運転支援システムも含まれる。
- Shared &Services(シェアリングとサービス):クルマを所有するのではなく、シェアリングするというクルマの新しい使い方。
- Electric(電動化):電気でモーターを動かすハイブリット車(HV)や電気自動車(EV)を意味する。走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないので、環境対応技術の本命となっている。
- 世界中の自動車メーカーが、C・A・S・Eの4つの技術を組み合わせて、安全で快適な次世代のモビリティサービスをつくることを目指している。
デンソーはCASE(ケース)の中でも今後さらにニーズが高まるC(コネクテッド)、A(自動運転)、E(電動化)に以下の価値を提供すると発表しています。
- C:クルマ・ヒト・モノがつながる新たなモビリティ社会を実現する
- A:交通事故のない安全な社会と快適で自由な移動を実現する
- E:環境負荷の低減と高効率な移動を実現する
出典:デンソー 統合報告書 2020年3月期
このようにクルマ全体を見渡してトータルソリューションを提供できる幅広い技術対応力がデンソーの強みであり、世界中の自動車メーカーにデンソーの部品が採用されている理由です。
また、デンソーは環境と安心で究極のゼロを目指す方針を発表しています。
カーボンニュートラルの実現により
- 二酸化炭素を排出と吸収でプラスマイナスをゼロにする取り組み
- ADAS(先進運転支援システム)を進化させるとともに多くのクルマに普及させることで交通事故をゼロにする取り組み
を進めており、自動車業界だけにとどまらず社会全体から注目を集めています。
世界の主要な自動車メーカーにCASE時代のクルマに求められる製品を提供できる幅広い技術対応力がデンソーの強み
デンソーの強み②電動化を支える多様な製品ラインナップ
デンソーの強みの2つめは、電動化を支える多様な製品ラインナップです。
デンソーは1997年に発売された世界初の量産HV(ハイブリッド自動車)の初代プリウスから20年以上磨き続きてきた技術力と経験をもとに、
PHV(プラグイン・ハイブリッド自動車)・EV(電気自動車)・FCV(燃料電池自動車)
の全てに対応できる世界有数の自動車部品メーカーです。
ハイブリット自動車は電気自動車よりも複雑な構造をしており、ハイブリット自動車特有のエンジンとモーターの協調システムを開発・製造できる企業は世界でもほとんど存在しません。
つまり、ハイブリット自動車用の部品を製造できる技術力もデンソーの強みの1つと言えます。
また2020年に
中国でハイブリッド自動車が環境車として優遇される政策が発表
されたことで、今後さらに需要が伸びていくことが期待されています。
出典:デンソー 事業説明会 2021年度 環境戦略
デンソーの新たな事業戦略
2021年5月26日に行われたデンソー事業説明会の環境戦略報告では、
電動車システム戦略として、多様な製品ラインナップにより2025年に1兆円の売上げを目指す
ことが発表されています。
デンソーが全ての電動車に対応できるのは、トヨタの電動車フルラインナップ化戦略に対応してきた結果とも言えます。
トヨタは電動車をフルラインナップすることで世界各国、各地域のお客様が
- 使用環境
- 航続距離
- 充電インフラ
に合わせて希望するクルマを自由に選ぶことができる選択肢を用意することにこだわりを持っています。
デンソーはトヨタの要求に対応していく中で、世界屈指の電動化技術と電動化を支える多様な製品ラインナップを強みとして持つ自動車部品メーカーへと進化を重ねてきたことが業界トップである理由と言えます。
トヨタとともに作り上げた世界屈指の電動化技術とあらゆる電動化を支えることができる多様な製品ラインナップがデンソーの強み
デンソーの強み③カーボンニュートラルをリードする環境戦略
デンソーの強みの3つめは、カーボンニュートラルをリードする環境戦略です。
カーボンニュートラル(脱炭素)とは…
- 二酸化炭素(CO2)が排出される量と吸収される量を同じにして、大気中のCO2の増加率をプラスマイナスゼロにしようという考え方
- 2015年に国連で採択されたパリ協定(地球温暖化対策に関する国際的な枠組み)に則り、日本を含めた120以上の国・地域が2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言している
さまざまな産業でカーボンニュートラルに向けた動きが活発化しており、ガソリン車からEVやFCVへの変革はこの動きの中の1つです。
デンソーは2021年5月26日の事業説明会で再生可能エネルギーを最大限に活用して、CO2を再生活用することでカーボンニュートラルを実現する環境戦略を発表しました。
出典:デンソー 事業説明会 2021年度 環境戦略
従来のカーボンニュートラルはCO2の排出を減らすことに注目が集まっていましたが、デンソーはCO2の排出を減らすこととともに、
「どのように回収し再利用するか」
に注目し技術開発を進めてきました。
モノづくりにおいて必ず排出されてしまうCO2を悪者ではなく、燃料として再利用するという考えのもと2020年7月にCO2循環プラントを完成させ、実用化に向けたさらなる技術開発が進められています。
出典:デンソー 企業サイト
出典:デンソー 事業説明会 2021年度 環境戦略
またデンソーはこのCO2回収技術を事業化し、2035年に3000億円の売上高をあげることを発表しています。
デンソーはこの環境戦略で世界の製造業をCO2を排出しないクリーンな仕事に変革し、カーボンニュートラルをリードする企業としてさらなる成長を遂げることが期待されます。
カーボンニュートラルをリードするCO2回収技術に代表される環境戦略がデンソーの強み
【デンソーの採用大学】就職難易度・採用人数は?グラフでわかる企業研究では採用大学・採用人数・就職難易度を解説していますので参考にどうぞ。
またデンソーの弱みを解説した【デンソーの弱み】CASE注力による問題点は?図解でわかる企業研究をあわせて読むことで、デンソーのことをより深く学んでいきましょう。
さらにあらゆる産業に部品を提供し、社会を支えているベアリング業界のリーディングカンパニー、日本精工の強みについても学ぶことで企業研究を深めてみましょう。
>>【日本精工(NSK)の強み】なぜ業界トップなのか?図解でわかる企業研究
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まとめ|デンソーの強み
この記事では自動車部品メーカー最大手であり、世界有数のメガサプライヤーであるデンソーの強みについて解説してきました。
また、デンソーの6つのコア事業についても、説明してきました。
この記事がデンソーの強みの理解に少しでもお役に立てたなら嬉しいです。