この記事ではトヨタ(トヨタ自動車)の強みについて、図解を使いながらわかりやすく解説します。
トヨタは日本を代表する自動車メーカーであり、その技術力の高さと徹底的なムダの排除で世界の自動車業界のトップを走るリーディングカンパニーです。
またその規模と圧倒的な稼ぐ力で
自動車業界のみならず産業界全体にも大きな影響力をもつ
日本で最も注目されている企業です。
この記事は以下のような人におすすめです。
- トヨタに就職したい。
- トヨタが業界トップである理由を知りたい。
- トヨタの強み、技術力を知りたい。
月に5万人以上の就活生に読まれる当サイト運営者トシが『トヨタの強み』を紹介しますよ!
データは以下を参照しています。
- トヨタ 決算説明会 第I部資料 2021年3月期
- トヨタ 決算説明会 第II部資料 2021年3月期
- トヨタ 有価証券報告書 2021年3月期
- TOYOTAレポート 2020年3月期
- トヨタ 企業サイト
- 就職四季報
- 会社四季報 業界地図
さらに、日経ビジネスや日経XTECHなどの経済誌から得た情報も加えながら、どこよりも詳しく解説していきます。
また、自動車業界のトレンドであるCASEについてもわかりやすく解説していきます。
トヨタ自動車の強み①“誰かのために”の想いから生まれる究極のトヨタ生産方式
トヨタの強みの1つめは、“誰かのために”の想いから生まれる究極のトヨタ生産方式です。
トヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)とは…
- 「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」を2本柱とする徹底的なムダの排除と生産の合理化からなるトヨタが生み出した生産管理システムのこと
- 「自働化」は、単純な機械化(自動化)ではなく、人間の知恵を機械につけることで機械が自分で判断し不良品(不良品=ムダ)をつくらないようにする仕組みのこと。
- 「ジャスト・イン・タイム」は、必要なものを・必要な時に・必要なだけ手に入れることで、ムラ・ムリ・ムダをなくし、生産効率をあげる仕組みのこと
トヨタだけではなく世界中の企業で採用されており、書籍も多数発行されています。
一般的な生産方式は、
大量生産によってコストを削減し、在庫をもつことでお客様からのさまざまな要求に即座にこたえる
ことが特徴です。
しかし、お客様の要求以上の在庫をもってしまうと、生産のムダ、在庫管理のムダといった在庫によるムダを生み出します。
トヨタ生産方式は
お客様の要求に応じて生産計画を決め、必要な分を必要なタイミングでつくる
ので、在庫を最小限にでき、生産や管理のムダが生まれづらいことが特徴です。
ムダを減らすことができれば、つくるコストが下がり、同じものでも安くつくることができるようになるため、その分だけ利益が出るようになります。
これを徹底的に突き詰めているのがトヨタであり、トヨタ生産方式を強みとして日本でトップの圧倒的な利益を生み出しています。
トヨタの利益については、トヨタと同じく自動車メーカーの大手企業である日産・ホンダと気になる10のポイントで比較した記事、【トヨタ自動車】業界で何位?グラフでわかる10のポイント徹底比較をどうぞ。
トヨタ生産方式の豊田会長の解釈
このトヨタ生産方式をトヨタの前社長である豊田章男会長は独自の解釈で究極のものに進化させています。
出典:トヨタ 企業サイト
豊田章男会長のトヨタ生産方式の解釈は以下の通りです。
- 「自働化」の目的は「誰かの仕事を楽にしたい」と考えるのが一番わかりやすい。
- “誰かのために”、というヒトを中心とした想いが結果として生産性の向上につながる。
- 「ジャスト・イン・タイム」は、トヨタ社内の後工程に対して、必要なときに、必要なだけ、必要なものを提供するということだけではない。
- リードタイム(受注からモノ・サービスの提供までにかかる時間)を短くして、クルマを買ってくださるお客様にジャスト・イン・タイムでクルマをお届けすることを追求していく必要がある。
つまり、
トヨタ生産方式はムダを徹底的に排除することでヒトを楽にすることが目的
であり、生産性が上がるのは誰かの仕事を楽にした結果であると言っています。
- 誰かの仕事を楽にするためにムダを省く
- お客様にできるだけ早くクルマを届けるためにリードタイムを短くする
- ヒトを中心に考えることが基本であり、コストが下がるのは結果にすぎない
“誰かのために”と想うことで社員が前向きにムダを省き、リードタイムを短くするために工程改善を積み重ねることで、世界一の生産性とコスト競争力を生み出す。
- 生産性を上げてコストを下げるためにムダを省く
- 必要なときに、必要なだけ、必要なものを提供するために在庫を多く持つ
- コストを中心に考えており、コストを下げるために休むことなく働く
コストを下げることを目的としており、ヒトは二の次であるため社員のモチベーションが下がる。ムダな在庫も増えるため、生産性は低下し、コストが下がらない。
このような豊田章男会長独自の解釈を自らが講師となり社員に広く伝えており、トヨタ生産方式を日々進化させています。
トヨタ生産方式の本質を理解せず生産性の向上のみを追求する企業では、トヨタ生産方式を採用していてもトヨタのような利益を出すことはできません。
トヨタ生産方式を生み出したトヨタだからこそできる究極のトヨタ生産方式がトヨタの大きな強みと言えます。
トヨタ生産方式を生み出したトヨタだからこそできる“誰かのために”の想いから生まれる究極のトヨタ生産方式がトヨタの強み
【トヨタの採用大学】就職難易度・採用人数は?グラフでわかる企業研究ではトヨタの採用大学・採用人数・就職難易度について解説していますので参考にどうぞ。
トヨタ自動車の強み②世界をリードする圧倒的な電動化技術
トヨタの強みの2つめは、世界をリードする圧倒的な電動化技術です。
トヨタは、自動車業界の大きなトレンドであるCASE(ケース)の中でも特に
「電動化」を意味するE:Electric
に関して、世界をリードする技術力を持っていることが大きな強みです。
CASEとは…
- CASEは、2016年にパリモーターショーでダイムラー(ドイツ)が中長期戦略の中で初めて使い、大きな注目を集めた言葉である。
- Connected(コネクティッド):通信機能を意味し、クルマの状態や道路状況などのデータを収集・分析したり、音楽や映画などをさらに楽しめる。
- Autonomous(自動運転):自動でクルマを走らせる技術。すでに多くのクルマが搭載している運転支援システムも含まれる。
- Shared &Services(シェアリングとサービス):クルマを所有するのではなく、シェアリングするというクルマの新しい使い方。
- Electric(電動化):電気でモーターを動かすハイブリット車(HV)や電気自動車(EV)を意味する。走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないので、環境対応技術の本命となっている。
- 世界中の自動車メーカーが、C・A・S・Eの4つの技術を組み合わせて、安全で快適な次世代のモビリティサービスをつくることを目指している。
出典:トヨタ 企業サイト
トヨタは1997年に世界初の量産型HVの初代プリウスを発売し20年以上にわたりその技術を磨き続ける中で、
EV、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車ラインナップ
を拡充してきました。
その中でも特にHVとPHVは世界一の技術力をもち、トヨタの強みの1つになっています。
- エンジンの熱効率が40%を超える非常に高いレベルにあり、燃費の良さで他社を圧倒する(熱効率:燃料がもつエネルギーを動力として使用している割合で通常33%程度)。
- 環境規制が厳しい欧州において、各自動車メーカーがEVを販売していく中で、トヨタはHVで達成できる。
- 自然エネルギー由来のグリーン電力のインフラがない世界のさまざまな地域では、EV用の電気は化石燃料による発電で作られるため、EVの普及はCO2排出量の削減につながりにくい。むしろエンジンの効率向上がCO2排出量の削減に貢献する。
- EVは、航続距離や充電インフラが十分でないという問題があるため、トヨタのHVが現時点で最適なクルマとして世界中で選ばれている。
2020年に中国でHVが環境車として優遇される政策が発表されるなど、今後さらに需要が伸びていくことが予想されています。
世界の自動車メーカーは電動車の本命はEVと考え、EVの開発に注力することを発表しています。
国内においても2021年4月、ホンダが世界での新車販売の全てを2040年までにEVとFCVに切り替えることを発表しているなど、EVを今後の主流とする考えが業界の主流となっています。
その中でもトヨタは
「環境車は普及し、CO2削減に貢献してこそ初めて環境車としての意義がある」
という考えのもと、HV・PHV・EV・FCVの電動車のフルラインナップ化を進めています。
(以下のHEVはHV、PHEVはPHV、BEVはEV、FCEVはFCVと同じ意味です)
出典:トヨタ 決算説明会 第II部資料 2021年3月期
トヨタのフルラインナップへのこだわり
トヨタは電動車をフルラインナップすることで、世界各国、各地域のお客様が
- 使用環境
- 航続距離
- 充電インフラ
に合わせて希望するクルマを自由に選ぶことができる選択肢を用意することにこだわりを持っています。
このように電動車をフルラインナップすることができるのも
HV・PHVに圧倒的な技術をもつトヨタだからこその強み
であり、世の中の動きがどのように変化しても柔軟に対応できる世界唯一の自動車メーカーです。
また、トヨタは20年以上の研究開発を経て、世界初の量産型FCVの初代MIRAIを2014年に発売するなど、燃料電池車においても世界をリードする技術力をもっていることも強みの1つです。
出典:トヨタ 決算説明会 第II部資料 2021年3月期
燃料電気車(FCV)とは…
- 外部の空気を取り込んで、空気中の酸素と燃料電池内の水素を反応させて電気をつくり、モーターを動かすことで走行するクルマ。
- CO2は排出されず、水だけが出るピュアでシンプルなクルマであり、さらに3分で燃料を満充填することができるなどEVのデメリットである充電時間の長さもFCVにはない。
- 燃料となる水素をいかにグリーン電力でつくるかなど、その製造方法とコスト、インフラ整備に課題があるが、次世代のエネルギーとして世界中で普及に向けた研究開発が進められている。
電動車のフルラインアップ化もトヨタ生産方式と同じく
お客様のことを第一に考えたトヨタのこだわり
であり、そのフルラインナップ全てで世界一の技術をもつトヨタは今後も世界の自動車業界のリーディングカンパニーとして成長していくことは間違いないでしょう。
電動車(HV・PHV・EV・FCV)をフルラインナップできる世界をリードする圧倒的な電動化技術がトヨタの強み
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まとめ|トヨタ自動車の強み
この記事では日本を代表する自動車メーカーであり、世界の自動車業界のトップを走るトヨタの強みについて解説してきました。
トヨタの企業研究に少しでもお役に立てたなら嬉しいです。