この記事では医療機器メーカーのリーディングカンパニーであり、世界でも圧倒的な地位を確立しているオリンパスの強みについて、図解を使いながらわかりやすく解説します。
オリンパスはカメラのイメージが強いですが、
2021年1月にカメラなどの映像事業を売却するなど事業再編を加速
させており、医療機器事業への経営資源の注力により今後さらなる成長が期待される注目の企業です。
この記事は以下のような人におすすめ!
- オリンパスに就職したい。
- 医療機器メーカーに興味がある。
- オリンパスの強み、技術力を知りたい。
月に5万人以上の就活生に読まれる当サイト運営者トシが『オリンパスの強み』を紹介しますよ!
データは以下を参照しています。
- オリンパス決算説明会プレゼンテーション資料2021年3月期
- オリンパス統合レポート2020年3月期
- オリンパスの事業と成長戦略2019年12月
- オリンパスの医療事業2017年10月
- オリンパス企業情報サイト
- 就職四季報
- 会社四季報 業界地図
さらに日経ビジネスや日経XTECHなどの経済誌から得た情報も加えながら、それぞれの強みについて詳しく解説していきます。
また、オリンパスの内視鏡の歴史についても、わかりやすく説明していきます。
オリンパスの強み①内視鏡事業の圧倒的な世界シェア
オリンパスの強みの1つ目は、内視鏡事業の圧倒的な世界シェアです。
その世界シェアは70%以上であり、市場規模は3,500〜3,700億円。
さらに市場は今後も年間4〜6%ずつ成長していくと予想されています。
内視鏡とは直接映像を見ながら、検査や治療を行える医療機器です。
胃がんや大腸がんなどの早期発見ができ、症状によっては、その場で患部を切除・治療することができます。
また内視鏡で治療を行うことで、体にメスを入れることなく、最小限の範囲にしぼり治療ができるため、体への負担は小さく、術後の回復も早いことが特徴ですよ。
オリンパスの内視鏡事業の歴史
オリンパスの内視鏡は1950年に医師からの依頼で世界初の実用的な胃カメラを開発したことから始まりました。
その後、ファイバースコープやハイビジョン内視鏡システムなど、
医師や患者のニーズに寄り添った開発を行い、長年の信頼関係を築いてきた
ことにより、今日の圧倒的なシェアにつながっています。
オリンパスの内視鏡事業が圧倒的シェアを持つ理由
医療分野において、一度築いた信頼関係は簡単に崩れるものではありません。
たとえオリンパスの内視鏡よりも
安価で、カタログスペック的には優れた製品であっても、医師はオリンパス製の内視鏡から安易に切り替えることはしない
と考えられます。
以下にユーザーである医師の方が書いたオリンパスの内視鏡についての記事を引用します。
約6年前でしょうか、
オリンパスに粉飾決算(オリンパス事件)の際も、医師らは、「会社のごたごたとオリンパスの高度な技術力とは、全く別物である」として、オリンパス製品を使用し続けました。
ライブドア、東芝などの例もあるように、普通では会社が潰れてしまうような事態だったのですが、影響は限定的でした。それ位高い信頼性を得ていたのです。
そしてそのブランドイメージは、今でも医師の間では強固なものがあります。
当院でもオリンパスを使用しております。
製品としてももちろんいいのですが、一番の理由は今までずっと使ってきたからです。
医師にとっては内視鏡は体の一部です。
ほんの少しの操作性が変わることも、画質が落ちることも妥協できないのです。
出典:医療法人博侑会吉岡医院、2017年2月27日、「オリンパスに追いつけるか」より引用
世界の多くの医師にとって内視鏡といえばオリンパスであり、使用する器具の信頼性や使用感がいかに重要であるかがよくわかります。
世界初の胃カメラの開発から50年以上にわたり医師と協働開発を行ってきた
その信頼感と、医師の視点・患者の視点に立った「ものづくり」による内視鏡事業の圧倒的な世界シェア
がオリンパスの強みです。
医師と長年にわたり協働開発を行ってきた信頼感と、医師の視点・患者の視点に立った「ものづくり」で築いた内視鏡事業の圧倒的な世界シェアがオリンパスの強み
オリンパスの強み②世界トップの内視鏡技術
オリンパスの強みの2つ目は、世界トップの内視鏡技術です。
1919年に創業したオリンパスは
「世界に認められる顕微鏡をつくる」「顕微鏡の国産化により、医学の発展に貢献したい」
という思いから、1920年にオリンパス初の顕微鏡「旭号」を開発。
顕微鏡事業で培った技術力を活かすことにより、内視鏡事業においてもオリンパスは世界屈指の技術力を誇ります。
オリンパスの内視鏡技術の特徴
2020年7月には次世代内視鏡システム「EVIS X1(イーヴィス エックスワン)」を発売しました。
特徴は以下の通り。
- 病変の発見・診断・治療の質や検査効率の向上を目指した技術を搭載
- がんなどの消化器疾患やの早期発見・早期診断・低侵襲治療(なるべく体に傷をつけずに行う治療)に貢献
- 4Kにより画面がきれいで明るくなり、手術時の見えやすさが向上するとともに、色の表現が豊富になり非常に小さな組織でも容易な識別できる
またオリンパスは2019年2月に国内で初めて
大腸の内視鏡画像から、がんなどの病変を見つけるAI(人工知能)搭載ソフトウェア「EndoBRAIN(エンドブレイン)」
を発売しました。
AIにより検査中にリアルタイムでがんを判別することができる機能により医師の診断をサポートすることができ、内視鏡診断・治療の質を向上させています。
大腸にできるイボ(ポリープ)の診断には
熟練した技術が必要で正診率は7割程度であるため、良性腫瘍だと判断したポリープが「がん」であった
という事例が生じています。
一方、エンドブレインの正診率は驚異の98%と熟練医師以上の精度であると報告されており、医師にとってはなくてはならない存在となっていくと予想されます。
オリンパスの内視鏡技術が世界をリードする理由
2021年2月には大腸の湿潤がん診断用の「EndoBRAIN-Plus(エンドブレインプラス)」を発売。
エンドブレインなどと組み合わせることで大腸内視鏡診断を包括的に行うことができるようになりました。
このように
内視鏡システムとAI診断システムの融合による世界の内視鏡診断のレベルを一段引き上げるほどの圧倒的な内視鏡技術
がオリンパスの強みです。
AIの開発で日本はアメリカや中国に遅れをとっていますが、内視鏡用AI技術については世界をリードしています。
その理由は
- オリンパスが世界に先駆けて内視鏡を開発したことで日本には内視鏡を使える医師が多い
- 内視鏡での治療実績が他国よりも多いためAIが学習に使う画像データを豊富にもつ
だと言われています。
このメリットを活かした世界へのさらなる進出と成長が期待されます。
次世代内視鏡システムとAIによる画像診断技術による世界トップの内視鏡技術がオリンパスの強み
オリンパスの強み③医療分野を取り巻く環境への対応力
オリンパスの強みの3つ目は、医療分野を取り巻く環境への対応力です。
世界の医療機器業界全体の動きは以下の記事で解説していますので、ご参考にどうぞ。
>>【医療機器メーカー】就職・転職に勝つ業界研究!人気3社を徹底比較【特徴・動向〜年収も】
医療機器のグローバル市場は、世界的な高齢化の進展と新興国での需要拡大により拡大傾向です。
また世界で最も高齢化率の高い日本においても同じく市場は拡大し続けています。
それらの医療分野の動きの中で、
医療コストの削減とQOL(Quality of life:人生の質)の向上が求められており、早期診断と低侵襲治療(なるべく体に傷をつけずに行う治療)
がより重要となってきています。
オリンパスは今まで解説してきた内視鏡事業だけでなく、治療機器事業にも取り組んでいます。
2021年3月期の売上高で見ると治療機器事業は全体の28%ですが、複数のM&A(企業・事業の合併や買収)を実施し、治療機器分野を強化することを発表しています。
特に消化器科、泌尿器科、呼吸器科の3分野に注力し、今までオリンパスの弱みであった分野を強みに変える経営戦略が取られています
このように内視鏡事業と治療機器事業の両輪により、医療分野を取り巻く環境に対応できる力を持っていることがオリンパスの強みです。
内視鏡事業と治療機器事業の両輪により、医療分野を取り巻く環境に対応できる力を持っていることがオリンパスの強み
オリンパスと同じ日本を代表する医療機器メーカーであり、総合ヘルスケアカンパニーへと成長を続けている富士フイルムについての記事を読み、比較することでオリンパスの企業研究を深めましょう。
>>【富士フイルムの強み】今、なんの会社?図解でわかる企業研究をご参考にどうぞ。
オリンパスから内定獲得!イチオシの就活サイトを紹介
最後に業界トップ企業を目指す就活生必見の『イチオシ就活サイト』を紹介しますね。
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まとめ:オリンパスの強み
この記事では医療機器メーカーのリーディングカンパニーであり、世界でも圧倒的な地位を確立しているオリンパスの強みについて解説してきました。
医療機器メーカーで、業界トップであるオリンパスの強みを理解して頂けたと思います。
内視鏡の圧倒的なシェアを世界トップの技術力で確保しながら、治療機器事業を強化していることがオリンパスの強みであり、今後も日本の医療機器メーカーを牽引する存在であることは間違いありません。
オリンパスは世界をリードするメゾテックカンパニーへと成長し、世界の人々の健康に貢献することを宣言しています。
また、治療機器事業の消化器科、泌尿器科、呼吸器科の3分野においても、内視鏡事業と同じくリーディングポジションを獲得し、営業利益率は20%超えを目指しています。
今後、医療機器業界の世界市場においてさらに地位を高め、グローバルトップへの成長が期待されます。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
また別の記事でお会いしましょう!