この記事では電機メーカーの業界研究として、世界の電機業界の動向や代表的な電機メーカーであるソニー、パナソニック、日立製作所のさまざまな情報について徹底解説します。
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結論
電機メーカーの業界研究をまとめると以下の通りです。
- 代表的な家電の世界シェアは、中国メーカーがグローバルでの存在感を増してきた一方、日系メーカーのシェアは低下している。
- 代表的な家電の国内シェアは、日系メーカーが大半を占めるが、洗濯機や冷蔵庫においてはハイアールが10%弱のシェアを占めるなど海外メーカーの名前も見られる。
- 主な日系メーカーであるソニー、パナソニック、日立製作所の中で、ソニーが売上、利益ともに好調であり、従来積み上げてきた事業改革により環境変化に強い企業となった。
- パナソニックは、モノ売りからサービス提案型の事業モデルへの変革により低収益体質からの脱去を目指す。
- 日立製作所は、Lumada事業を軸とした事業展開を進める。
- 3社の内、特にソニー、パナソニックは、将来の成長に向け、積極的な研究開発費投資を継続している。
- 3社の有給休暇取得日数や平均勤続年数などのデータより、働く環境は良いと言える。
- 電機業界は、世界の人々の生活を豊かにしたり、世の中に感動を与えることができる業界であり、大きなやりがいのある業界と言える。
世界の電機業界の動向
まずは電機業界の全体感をつかむために、財務総合政策研究所発表の「中国家電メーカーの躍進と日本の家電メーカーの今後の課題(2020年9月16日) 」を参考に、家電市場における世界全体の動向を解説します。
代表的な家電における世界シェアと日本国内シェア
代表的な家電における世界シェアと日本国内のシェアは以下の通りです。
- 世界シェアについては、エアコン、テレビ で上位5位以内に日系メーカーが見られるが、多くの製品において中国、韓国メーカーが大きなシェアを占めている。
- 国内シェアについては、日系メーカーが大半を占めるが、洗濯機や冷蔵庫においてはハイアールが10%弱のシェアを占めるなど海外メーカーの名前も見られる。
2000年以降、ハイアールをはじめとする中国メーカーがグローバルでの存在感を増してきた一方、パナソニックや日立製作所など日系メーカーのシェアは低下しています。
中国のハイアールが世界シェア1位であり、日本国内でも8.6%の販売シェアを持ちます。
世界シェアは、2位にアメリカのワールプール、3位に中国のマイディア、4位に韓国のLG電子、5位にスウェーデンのエレクトロラックスとなっています。
日本国内のシェアは、パナソニック、日立製作所、東芝など日本のメーカーが上位を占めます。
世界シェアは、中国のハイアールが21.4%で、2位以下を大きく引き離しています。
2位以下はアメリカのワールプール、韓国のLG電子、スウェーデンのエレクトロラックス、韓国のサムスン電子の各社のシェアが拮抗しています。
日本国内のシェアは、パナソニック、シャープ、日立製作所、東芝、三菱電機の日本メーカーが5位までを占めます。
6位に中国のハイアールが入り、8.3%のシェアを持ちます。
世界シェアは、中国の珠海格力電器、マイディア、ハイアール、奥克斯集団の上位4 社で50%以上を占めます。
日本国内のシェアは、パナソニック、三菱電機、 日立ビルシステム、東芝キヤリア、ダイキン工業、三菱重工サーマルシステムズの6社がシェアの約75%を占めます。
世界シェアは、韓国のサムスン電子、LG電子が上位を占め、中国のTCL集団とハイセンスがそれに続きます。
日本国内のシェアは、台湾のホンハイ(鴻海精密工業)傘下のシャープが46.7%のシェアを持ち、2位以降のパナソニック、東芝、ソニーに大差をつけています。
世界シェアは、アメリカのHPと中国のレノボ・グループがそれぞれ23.2%を持っています。
3位にアメリカのデル、4位にアップル、5位に台湾のエイサーとなっています。
日本国内のシェアは、NECレノボ、日本HP、デル、富士通の順であり、シャープと東芝の合弁会社のDynabookがそれに続きます。
世界シェアは、韓国のサムスン電子が1位、アメリカのアップルが2位であり、次に、中国のファーウェイ、シャオミ、オッポと中国メーカーが続きます。
日本国内のシェアは、アップルが48%と約半数のシェアを占めています。
日系メーカーの世界シェアが低下した原因
世界市場における日系メーカーのシェアが低下してきた要因は、以下の通りです。
- 事業の選択と集中、デジタル化・モジュール化、付加価値戦略、新興国市場への展開、イノベーションの面において、変化への対応が遅れている。
- 経済成長が著しい新興国への展開については、所得水準の向上に伴って家電製品への需要が拡大しているが、日本メーカーの価格帯は高く、現地のニーズに適合していない。
- 中国や韓国のメーカーは、 シンプルかつ最低限の機能に限定した商品を安価に製造し、中低所得国でも確実にシェアを獲得してきた。
現在、日系メーカーは国内市場において、高付加価値の製品を提供することにより、品目によっては高いシェアを維持しています。
一方、高齢化率が世界一高い日本において
人口減少が進む中では、国内の販売量増加を大きく見込むことが難しい状況
であることから、高付加価値の製品をグローバルに展開し、収益を確保する戦略が求められます。
その際には、アメリカなど先進国だけではなく、中国ともどのように競争していくかが問われることになります。
ソニー、パナソニック、日立製作所の違いを徹底比較
電機業界の中で代表的な企業であるソニー、パナソニック、日立製作所について、さまざまな角度から比較することで3社の特徴を見ていきます。
就職四季報、会社四季報 業界地図、統合報告書、有価証券報告書、決算短信、決算説明会資料などのデータを使用しています。
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また、2021年4月、5月に発表された2021年3月期の最新決算も含めて比較しますのでソニー、パナソニック、日立製作所の最新の情報を知ることができます。
電機業界トップのソニーの強みについては、【ソニーの強み】なぜ業界トップなのか?図解でわかる企業研究、電機業界内の順位については【ソニー】業界で何位?グラフでわかる13のポイント徹底比較で詳しく解説しています。
近年、Lumadaを軸とした事業戦略が注目を集める日立製作所については【日立製作所の強み】なぜ業界トップなのか?図解でわかる企業研究でわかりやすく解説しています。
売上高
3社の売上高について比較します。
ソニーは2020年3月期に減少しましたが、全体的に右肩上がりであり、2021年3月期は前年比9%増加の約9兆円、過去最高の売上高となりました。
景気減速の影響による巣ごもり需要でゲーム分野や音楽分野が好調であり、特に2020年11月に発売したPlayStation 5が好調を牽引しました。
パナソニック、日立製作所は、ここ数年減少傾向でありますが、2021年3月期においては違いが見られます。
パナソニックは前年比11%と大幅に減少しており、25年ぶりに7兆円を下回りました。
景気減速の影響が大きい航空機向けモニター事業が大きく落ち込んだことと、住宅事業など低採算事業の非連結化が主な原因です。
現在、注力しているのは
工場、物流、小売などの現場でデジタルトランスフォーメーション(DX)によりサプライチェーン(供給網)を効率化する事業
ですが、これを拡大しモノ売りからサービス提案型の事業モデルに展開できるかが、成長路線への回復の課題となります。
日立製作所の2021年3月期については、前年比0.4%と減少ながら、ほぼ横ばいとなりました。
Lumada事業の売上収益は前年比7%増の1兆1,000億円であり、
デジタル事業で事業の変革を目指す企業の需要の高まりにより好調を維持
しており、景気減速下においても収益を落とすことはありませんでした。
ソニーと日立製作所は近年の成長分野への選択と集中によりバランスの良い事業ポートフォリオを構成しており、環境変化に強い企業であることが分かります。
またパナソニックも全事業において攻めるべき領域への集中を宣言しており、今後の成長が期待されます。
営業利益
3社の営業利益を比較します。
営業利益とは本業で稼いだ利益のことであり、売上高から人件費、広告宣伝費などを差し引きしたものです。
ソニーの2021年3月期は前年比15%増の9,719億円となり大幅に利益を伸ばしています。
純利益も1兆円を超えており、売上高、利益とともにソニーとしては過去最高の結果となりました。
ゲーム事業においては
巣ごもり需要によりソフト販売数量の70%以上がダウンロードとなっており、またネットワークサービスのプレイステーションプラスも大きく利益に貢献
しました。
パナソニックは前年比12%減の2,586億円となりました。
ただし、2020年10月から2021年3月の半年間を見れば前年比で利益は増加しています。
- 巣ごもりによる家電の需要増
- アメリカの電気自動車メーカー・テスラ向けの車載電池の黒字化
- 不採算事業の整理
などにより収益力を回復させています。
日立製作所は前年比25.2%減の4,951億円と大きく減少しました。
しかし、日立化成や画像診断事業の売却により純利益は過去最高の5,016億円となりました。
2022年3月期はLumada事業を軸とし、
- IT
- エネルギー
- インダストリー
- モビリティ
- ライフ
の5セクターと日立アステモによる事業成長などにより営業利益49.4%増の7,400億円となり、V字回復を達成する見込みとなっています。
営業利益率
3社の営業利益を比較します。
営業利益率は売上高と営業利益の比率を表しており収益性の高さを示す指標です。
ソニーは10%を超える営業利益率を確保し、安定的に成長していることが分かります。
パナソニックは2019年の中期戦略の中で「低収益体質からの脱却」という方針を示しています。
全事業において攻めるべき領域に集中し徹底的に競争力を高めることを宣言しており、営業利益率を向上させる施策がなされています。
日立製作所は5.7%と前年よりも低下しましたが、2022年3月期は7.8%まで回復する見込みです。
研究開発費
3社の研究開発費を比較します。
研究開発費はソニーが最も大きく、続いてパナソニック、日立製作所の順となっています。
ソニーの研究開発費は年々増加しています。
ソニーは
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」
ことを存在意義としており、「人」「社会」「地球」が抱える課題をテクノロジーで解決することを目的とした積極的な投資が行われています。
研究開発費率
3社の研究開発費率を比較します。
研究開発費率は売上高と研究開発費の比率を表したものです。
売上高に対してどれだけ研究開発に費用をかけているかが分かり、企業の成長性を示す指標です。
ソニー、パナソニックは増加傾向にあり、今後の成長に向けた投資を継続して行なっていることが分かります。
特にパナソニックは、苦しい経営環境の中でも、6%を超える投資をしていることが特徴です。
従業員数
3社の単独従業員数を比較します。
パナソニックが最も多く、次いで日立製作所、ソニーとなります。
パナソニックは日本の上場企業の中でもトヨタに次ぐ2位となっています。
平均年収
平均年収は3社ともに上場企業の平均である630万円(東京商工リサーチ発表:2020年9月11日)を上回ります。
特にソニーが高く、3社の中でトップとなっており、平均年収は1,000万円を超えます。
初任給
初任給も平均年収と同じく、ソニーがトップとなっています。
平均年収は3社ともに上場企業の平均とほぼ同等かそれ以上となっています。
有給休暇取得日数
3社ともに有給休暇の取得日数は高く、上場企業平均を上回ります。
パナソニックは1年目から25日付与されます。
通常の企業では1年目は10日から15日程度の付与となり2年目以降、付与日数が増えていくことが一般的です。
平均勤続年数
平均勤続年数は男性、女性ともにパナソニックが最も長いです。
特に電機業界は女性の勤続年数が長いことが特徴です。
3社ともに女性社員の活躍推進に向けた取り組みがなされています。
残業時間
残業時間は、日立製作所は上場企業平均を下回っています。
職種によっても異なりますので、参考程度のデータと認識ください。
電機業界から内定獲得!企業研究できる就活サイト
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「unistyleって怪しい?」と気になる人向けに評判をまとめた記事を書きましたので、参考にどうぞ。
まとめ:【電機メーカー】ソニー・パナソニック・日立製作所の違いを徹底比較!
この記事では、電機メーカーの業界研究として、世界の電機業界の動向や代表的な電機メーカーであるソニー、パナソニック、日立製作所のさまざまな情報について、徹底解説しました。
電機業界は、各メーカーの経営理念にもあるように、世界の人々の生活を豊かにしたり、世の中に感動を与えることができる業界であり、大きなやりがいのある業界と言えるでしょう。
ただし非常に競争の激しい業界であり、現状世界市場では日系メーカーは苦戦していることから、世の中の動きや環境変化などにより経営状況が変動しやすい業界でもあります。
よって、環境が変わっても成長できる企業であることが重要ですが、今回ご紹介したソニー、パナソニック、日立製作所は、いずれも時代に合わせた変革を進めてきており、環境変化に強い企業、もしくは環境変化に強い企業に変化しつつあると言えます。
結論
電機メーカーの業界研究についておさらいしましょう。
- 代表的な家電の世界シェアは、中国メーカーがグローバルでの存在感を増してきた一方、日系メーカーのシェアは低下している。
- 代表的な家電の国内シェアは、日系メーカーが大半を占めるが、洗濯機や冷蔵庫においてはハイアールが10%弱のシェアを占めるなど海外メーカーの名前も見られる。
- 主な日系メーカーであるソニー、パナソニック、日立製作所の中で、ソニーが売上、利益ともに好調であり、従来積み上げてきた事業改革により環境変化に強い企業となった。
- パナソニックは、モノ売りからサービス提案型の事業モデルへの変革により低収益体質からの脱去を目指す。
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電機メーカーの業界研究に少しでもお役に立てたなら嬉しいです。