この記事では自動車業界をリードするトヨタ(トヨタ自動車)の業界順位について、同じく自動車メーカー大手の日産(日産自動車)・ホンダ(本田技研工業)と比較しながら徹底的に解説します。
業績、年収、残業時間など気になる10のポイントについてグラフでわかりやすく比較していますので、ざっと眺めるだけでも簡単に企業研究ができる内容になっています。
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結論
トヨタの自動車業界内での順位をまとめると以下です。
- 売上高:1位
- 営業利益:1位
- 営業利益率:1位
- 研究開発費:1位
- 研究開発費率:3位
- 平均年収:1位
- 初任給:3位
- 有給休暇取得日数:日本で21位
- 平均勤続年数:3位
- 残業時間:2位
データは以下を参照しています。
- トヨタ 決算説明会 第I部資料 2021年3月期
- トヨタ 決算説明会 第II部資料 2021年3月期
- トヨタ 有価証券報告書 2021年3月期
- TOYOTAレポート 2020年3月期
- トヨタ 企業サイト
- 就職四季報
- 会社四季報 業界地図
さらに、日経ビジネスや日経XTECHなどの経済誌から得た情報も加えながら、どこよりも詳しく解説していきます。
また、トヨタの会社概要や企業理念についても説明していきます。
それではいきましょう!
トヨタ自動車の基本情報
トヨタの基本情報として、以下について解説します。
- 会社概要
- 企業理念
会社概要
まずはトヨタの会社概要について解説します。
- 会社名:トヨタ自動車株式会社(TOYOTA MOTOR CORPORATION)
- 代表取締役社長:豊田 章男
- 創設:1937年(昭和12年)8月28日
- 資本金:6,354億円
- 主な事業内容:自動車の生産、販売
- 従業員数(2020年3月末)74,132人(連結 359,542人)
トヨタのルーツは1918年に設立された豊田紡績株式会社にあります。
自動織機を使った綿製品の製造、販売に注力し、その品質の高さと第一次世界大戦の特需が会社を成長させていきました。
1926年には自動織機を製造、販売する豊田自動織機製作所となりましたが、
その後の世界恐慌により、業績不振となった
ことから、事業を多角化。
その1つとして1933年に豊田自動織機製作所のなかに自動車製作部門が作られました。
1937年に現在の愛知県豊田市に自動車工場を建設し、独立会社としてトヨタ自動車が設立。
1961年にはTQC(総合的品質管理)、1963年には必要なものを必要なときに必要な量だけ生産する「かんばん方式」
を作り出し、トヨタ独自のトヨタ生産方式(TPS)を確立していきました。
また1960年代から1970年代は海外に進出し日本のトヨタから世界のトヨタへ成長していきます。
1990年代のバブル崩壊、2008年のリーマンショックでは生産台数の落ち込み
が見られましたが、原価低減を推し進めながら競争力を高めてきたトヨタは2010年代には売上高が20兆円を超えるようになり、現在では世界屈指の自動車メーカーとなっています。
トヨタ基本理念
トヨタ基本理念は以下の通りです。
「トヨタ基本理念」(1992年制定、1997年改正)は、創業以来受け継がれてきた、トヨタ独自の経営上の考え方・価値観・手法を踏まえ、トヨタがどのような会社でありたいかをまとめたもの。連結子会社とともにその内容を理解・共有し、企業活動を通じて、社会・地球の持続的な発展に貢献することを目指している。内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
1.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
2.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
3.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
4.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
5.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
6.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
引用:トヨタHP「トヨタ自動車75年史 トヨタ基本理念」
丸暗記をするのではなく、共感できるところ、気になるところがあれば
「なぜ共感できるのか?」「なぜ気になるのか?」
を考えてみましょう。
志望動機に盛り込む場合には、自分なりに意味や本質を理解し、自分の言葉でトヨタ基本理念の解釈を伝えることが重要です。
トヨタ自動車は業界で何位?10のポイントを徹底比較
トヨタは業界で何位なのか、業績、年収、残業時間など、気になる10のポイントについて、同じく自動車メーカー大手の日産・ホンダと徹底的に比較します。
トヨタ自動車の業界順位【業績】
売上高
トヨタの売上高について、安定的に30兆円前後を確保しており、自動車業界で圧倒的1位、日本の全企業の中でも1位の売上高となっています。
2021年3月期は前年度より8.9%減少しましたが、数年前の2017年3月期とほぼ同等です。
前年度比で20%減少した日産、11,4%減少したホンダと比べても景気減速の影響を最小限に抑えたと言えます。
営業利益
営業利益とは本業で稼いだ利益のことであり、売上高から人件費、広告宣伝費などを差し引きしたものです。
トヨタの営業利益は、前年度比で8.4%減少したものの、景気減速下にも関わらず、2兆円を超える営業利益を確保しました。
営業利益も自動車業界で圧倒的1位です。
2020年4月から6月の第一四半期決算では、営業利益139億円であったことを考えると、驚異のV字回復を起こしたことになります。
景気減速により世界で最も安定した通貨である円が買われたことによる
円高の進行(為替変動)と販売台数が約15%減少したことが影響し、利益減少要因
となりましたが、原価改善の努力、諸経費の低減努力で盛り返し、2021年3月期は2兆1,977億円で着地しています。
営業利益率
営業利益率は、売上高と営業利益の比率を表しており、収益性の高さを示す指標です。
トヨタの営業利益率は前年比で0.1%アップしており、自動車業界で1位となっています。
通常、利益は損益分岐点の影響を受けるので、売上高の減少以上に利益は減少するため、利益率はダウンすることになります。
損益分岐点とは…
- 損益がちょうどゼロとなる売上高のこと。
- 損益分岐点以上を売り上げると利益が出る。
しかし、トヨタは反対に、営業利益率をアップさせていますので、原価改善の努力、諸経費の低減努力が並外れた効果を発揮したことがわかります。
トヨタ自動車の業界順位【将来性】
研究開発費
トヨタの研究開発費は年々増加し、1.1兆円規模となっており、研究開発費についても自動車業界で1位です。
2010年時点の研究開発費は、7,300億円程度でしたので、この10年で1.5倍になったことがわかります。
リーマンショック時の2010年3月期は、
設備投資55%削減、研究開発費20%削減した結果、復活に時間がかかったことを反省点
にあげており、景気減速下においても研究開発を抑えることはしないと宣言しています。
トヨタは毎年1兆円を超える研究開発を支出をしており、自動車業界のトレンドであるCASE、
- Connected(コネクティッド)
- Autonomous/Automated(自動化)
- Shared(シェアリング)
- Electric(電動化)
などに対する研究開発に力を入れていることが分かります。
CASEとは…
- CASEは、2016年にパリモーターショーでダイムラー(ドイツ)が中長期戦略の中で初めて使い、大きな注目を集めた言葉である。
- Connected(コネクティッド):通信機能を意味し、クルマの状態や道路状況などのデータを収集・分析したり、音楽や映画などをさらに楽しめる。
- Autonomous(自動運転):自動でクルマを走らせる技術。すでに多くのクルマが搭載している運転支援システムも含まれる。
- Shared &Services(シェアリングとサービス):クルマを所有するのではなく、シェアリングするというクルマの新しい使い方。
- Electric(電動化):電気でモーターを動かすハイブリット車(HV)や電気自動車(EV)を意味する。走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないので、環境対応技術の本命となっている。
- 世界中の自動車メーカーが、C・A・S・Eの4つの技術を組み合わせて、安全で快適な次世代のモビリティサービスをつくることを目指している。
またCO2排出量を削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するための技術革新と投資も積極的に行なっています。
初の量産型FCV(燃料電池自動車)であるMIRAIの販売に代表される水素エネルギーの研究開発も行なっていいることが特徴です。
トヨタの電動車への取り組みは【トヨタ自動車の強み】なぜ業界トップなのか?図解でわかる企業研究で詳しく解説していますので、ご参考にどうぞ。
研究開発費率
研究開発費率は、売上高と研究開発費の比率を表したものです。
売上高に対してどれだけ研究開発に費用をかけているかが分かり、企業の成長性を示す指標となっています。
売上高が非常に大きいトヨタは
研究開発費率で見ると3%台と日産、ホンダよりも低く自動車業界3位
となっていますが、研究開発費1.1兆円は日本全体で見てもダントツの1位であり、今後のさらなる成長に向けて莫大な研究開発費を投資していることは間違いありません。
トヨタ自動車の業界順位【年収】
2020年6月に公開された有価証券報告書によると、トヨタの平均年収は865万であり、上場企業の平均である630万円(東京商工リサーチ発表:2020年9月11日)を大きく上回ります。
自動車業界で1位であり、給与は非常に高いです。
トヨタは、ボーナスの最大4割を占める考課反映金額が2019年から1.5倍になっており、今までよりもボーナスが大幅にアップしています。
初任給
トヨタの初任給は、日産やホンダ、上場企業平均よりも低いことがわかります。
自動車業界での順位は3位となっています。
トヨタは
入社3年間は基本給が上がらず、ボーナスも満額ではないので、最初の3年間は我慢が必要
かもしれませんが、4年目で基本給アップとボーナスが満額出る仕組みとなっており年収が一気に上がります。
トヨタ自動車の業界順位【休みやすさ】
有給休暇取得日数
上のグラフは四季報のデータを基にしていますが、東洋経済ONLINEの「有給休暇」の取得率が高い会社トップ200(2021年4月26日)では、
トヨタが92.3%で日本全体の21位
となっており、上場企業平均よりも大幅に取得率が高いことが分かります。
トヨタ自動車の業界順位【定着度】
平均勤続年数
有価証券報告書(2020年3月期)から、トヨタの平均勤続年数は日産やホンダ、上場企業平均よりも短く、自動車業界3社の中で3位となっています。
トヨタの入社式や春闘において豊田章男社長は、
「トヨタの問題の1つは若手の離職にあり、その改善に会社をあげて取り組んでいる」
とコメントしており、今後の離職率の低下が期待されます。
トヨタ自動車の業界順位【残業】
残業時間
トヨタの残業時間は、毎月21.3時間程度であり、自動車業界で2位となっています。
データ元により差があるので、上場企業平均より少し多い程度という認識で良いです。
トヨタの企業研究を深めるために、【自動車メーカー】就職・転職に勝つ業界研究!大手3社を徹底比較【特徴・動向〜年収も】も参考にどうぞ。
【トヨタの採用大学】就職難易度・採用人数は?グラフでわかる企業研究ではトヨタの採用大学・採用人数・就職難易度について解説しています。
トヨタ自動車から内定獲得!企業研究できる就活サイト
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▼口コミはこのような感じ。
②ユニスタイル
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「unistyleって怪しい?」と気になる人向けに評判をまとめた記事を書きましたので、参考にどうぞ。
まとめ 【トヨタ自動車】業界で何位?グラフでわかる10のポイント徹底比較
この記事では自動車業界をリードするトヨタの業界順位について、同じく自動車メーカー大手の日産・ホンダと比較しながら解説してきました。
結論
- トヨタは業績、将来性、技術力などから世界屈指の自動車メーカーであると言える。
- 2021年3月期は景気減速下においても圧倒的な売上高、営業利益を確保し、トヨタの強さを示した。
- 1.1兆円を超える研究開発費により、CASE、カーボンニュートラルなどに積極的に取り組んでおり、自動車業界の中でも将来性はトップクラスである。
- あらゆる面で自動車業界だけではなく、日本全体でもトップクラスの企業と言える。
トヨタの企業研究に少しでもお役に立てたなら嬉しいです。