この記事では医療機器メーカーの業界研究としてオリンパス、富士フイルム、キヤノンの就職に役立つ情報を徹底解説します。
オリンパス・富士フイルム・キヤノンは従来のイメージを変え医療機器分野への注力を進めている企業。
競合他社3社の比較を通じて医療機器メーカーの特徴を理解していきましょう。
この記事は以下の人におすすめ!
- オリンパス・富士フイルム・日立製作所で働きたい。
- オリンパス・富士フイルム・キヤノンを比較したい。
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結論
医療機器メーカーの業界研究をまとめると以下の通り。
- 世界の医療機器市場は、世界的な高齢化の進展と新興国の需要拡大により拡大傾向にある。
- 日本の医療機器市場は、世界一の高齢化率の高まりにより規模は継続的に増加していくと考えられる。
- 医療機器業界は、成長期待が高い分野であり、将来性のある業界である。
- 医療機器事業は景気減速下においても安定した売上高と営業利益を確保しており、オリンパス、富士フイルム、キヤノンの中で最も医療機器へ事業集中をしているオリンパスが一段抜け出した利益率を確保している。
- 3社ともに、将来の成長に向け、積極的な研究開発費投資を継続している。特にオリンパスの研究開発比率は10%以上と高い。
- 3社の有給休暇取得日数や新卒3年後離職率などのデータより、働く環境はかなり良い。
- 医療機器業界は、将来性の高さとともに、世界の人々の健康と安心に貢献できる大きなやりがいのある業界と言える。
世界の医療機器業界の動向
出典:経済産業省における医療・福祉機器産業政策について(令和2年2月版)
まずは世界の医療機器業界全体の動きを解説します。
経済産業省発表の「経済産業における医療・福祉機器産業政策について(令和2年2月版)」をベースに解説します。
医療機器のグローバル市場は以下の理由により拡大傾向にあります。
- 世界的な高齢化の進展
- 新興国の需要拡大
世界的な高齢化の進展
高齢化の進展については、内閣府の「高齢化の国際的動向(令和2年版)」で発表されています。
高齢化は日本やアメリカ、欧州だけの問題ではありません。
例えばアジアにおいては中国やタイ、インドなどにおいても高齢化が急速に進んでいます。
世界の総人口における65歳以上の割合は1950年の5.1%から2015年には8.2%に上昇していますが、
2060年には17.8%まで急上昇する
と見込まれています。
世界的に高齢化が進む中で、
先進国では高度医療の充実、新興・途上国では医療体制の整備や生活水準向上に伴う医療ニーズの変化
などにより、さまざまな医療機器の需要が高まると見られています。
世界最大の市場であるアメリカでは年間400万人が65歳を迎え、公的保険メディアに加入することから、今後さらに市場が拡大すると予想されています(ジェトロの2017年「米国医療機器市場動向調査」)。
アメリカの総医療費の半分以上が高齢化医療から発生していること、在宅医療が発展し、それを支える製品もニーズが高いことが成長要因とされています。
新興国の需要拡大
新興国の需要拡大については、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「拡大する世界の医療機器貿易(2017年)」を参考に説明します。
2006年から2016年に10億ドル以上の医療機器の輸入規模がある国の内、10年間の年平均成長率が高い国は
- 中国(16.3%)
- タイ(10.0%)
- インド(9.6%)
など上位10カ国中7カ国が新興国となっています。
輸入規模は劣りますが、フィリピンやインドネシア、エジプトなども2桁の伸びとなっており、経済発展と高齢化の進展により新興国は特に注目される市場となっています。
新興国において、どの国でも需要が大きい品物はカテーテル・カニューレ類ですが、
国ごとに異なる製品ニーズもあるため、その国ごとの特性をヒントとすることで日本の医療品輸出の裾野が広がる
足がかりとなります。
以下は、国ごとに異なる製品ニーズの一例です。
- 中国:走査型超音波診断装置、医療用X線機器(CT、歯科用除く)
- タイ:人工機器(義手、義足など)、医療用X線機器(CT、歯科用除く)、歯科用ユニット
- インド:眼科用機器、人工関節、MRI
- シンガポール:呼吸治療用機器、外科用縫合材、補聴器
日本の医療機器業界の動向
続いて、日本の医療機器業界の動向について解説します。
日本の医療機器市場規模は2004年以降、増加傾向にあり、日本の医療費42.1兆円(2016年)の内、約7%を占めています。
日本は
世界で最も高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が高い国
であり、2019年時点で28.4%となっています。
2036年では33.3%、2065年には38.4%となり、国民の2.6人の1人が65歳以上となると推計されています。
以上のことから、今後も医療機器市場の規模は増加していくものと考えられます。
次に、医療機器の輸出入の推移を見ていきます。
日本からの輸出は緩やかな拡大傾向にありますが輸入は顕著に増加傾向であり、2018年時点で約9,529億円の輸入超過となっています。
その理由を主な医療機器の世界シェアから見ていきます。
診断機器分野の内視鏡、超音波画像診断装置、MRIでは一定の国際競争力を確保する一方、治療機器分野の放射線治療装置、血管ステント、人工関節では国際競争力が低いのが現状です。
医療機器市場の内、金額ベースでは治療機器分野が59%、診断機器分野が20%を占めます。
一般的に治療機器の方が成長率が高く市場規模も大きいですが、そこでの国際競争力が低いということが日本の課題です。
現在、日本では
グローバル市場の更なる獲得を目指し、世界最先端の医療機器開発を行うため、産学官が連携しながらオールジャパンによる先進的な医療機器・システムの開発
を推進しています。
これらのことから医療機器業界は、成長期待が高い分野であり、その将来性の高さから、大きなやりがいを持って働ける業界と言えるでしょう。
オリンパス、富士フイルム、キヤノンを徹底比較
医療機器業界の中で特に注目されるオリンパス、富士フイルム、キヤノンについて、さまざまな角度から比較することで3社の特徴を見ていきます。
就職四季報、会社四季報 業界地図、統合報告書、有価証券報告書、決算短信、決算説明会資料などのデータを使用しています。
業界研究に特におすすめするのは業界研究本で売上No.1の会社四季報 業界地図です。
就活のパートナーとして使い倒すことをおすすめします。
また、2021年4月、5月に発表された2021年3月期の最新決算も含めて比較しますので、オリンパス、富士フイルム、キヤノンの最新情報を知ることができます。
医療機器業界トップであり、医療専業への道を突き進んでいるオリンパスについて、より深く知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>【オリンパスの強み】なぜ業界トップなのか?図解でわかる企業研究
また、オリンパスとは異なり多角化を進めながら、ヘルスケアトップを目指す富士フイルムについては以下の記事で詳しく説明しています。
>>【富士フイルムの強み】今、なんの会社?図解でわかる企業研究
売上高(全体)
3社の売上高について、医療機器以外も含めた全体の売上高で比較します。
全体的に横ばいから減少傾向が見られますが、
カメラなどのイメージングシステムの売上高が大きいキヤノンがここ数年は減少幅が大きい
ことが特徴です。
オリンパスは2021年3月期に映像事業を譲渡し、医療機器事業と科学事業を継続事業として注力する体制となりました。
継続事業について2020年3期と比較すると3%の減収となっており、景気減速の影響であると発表されています。
富士フイルムは景気減速の影響によりオフィス向けプリンターなどの販売低迷により前年比5.3%の減少となっています。
キヤノンは
- スマートフォンの台頭によるエントリーモデルを中心としたカメラ市場の年々の縮小影響
- 景気減速の影響による複合機などオフィス機器市場の大きな落ち込み
から12%の減収となっています。
3社ともに元々はカメラ事業をメインとした事業構成でしたが、
市場の環境変化により構造改革を進めており、いち早く改革を進めてきたオリンパスが景気減速下においても安定した売上を確保
しています。
売上高(医療機器)
3社の医療機器事業の売上高を比較します。
医療機器に限定するとオリンパスの売上高が1位となります。
オリンパスの医療機器は内視鏡事業と治療機器事業の2つから構成され、2021年3月期は内視鏡事業で4,195億円、治療機事業で2,060億円となっています。
2つの事業ともに微減ながらも安定した売上を確保しています。
オリンパスは、
世界をリードするメドティックカンパニーへの成長と世界の人々の健康に貢献することを戦略目標とし、引き続き改革を進めていく
ことを発表しています。
富士フイルムは肺炎診断のための回診用X線撮影装置や携帯用超音波診断装置の販売が好調です。
また、バイオ医薬品や再生医療関係も好調であったことから、前年度比12.6%と大幅に売上を伸ばしています。
キヤノンはMRIなど医療機器については0.5%の減収とほぼ横ばいであり、他の事業と比較し、安定した売上を確保しています。
営業利益(全体)
3社の営業利益について、医療機器以外も含めた全体の営業利益で比較します。
オリンパスは、売上高と同様に営業利益自体は小さいですが、安定した利益を確保しています。
富士フイルム、キヤノンともに売上が減少したことにより、営業利益についても減少しています。
特にキャノンは、前年度比36.6%の大幅減益となっています。
営業利益(医療機器)
3社の医療機器事業の営業利益を比較します。
3社比較により、オリンパスの営業利益が圧倒的に大きいことがことが分かります。
2021年3月期は前年度比4.6%の減益となっていますが、1,000億円以上の営業利益を確保しています。
富士フイルムは医療機器の売上増加にともない営業利益も68.6%の大幅増加となっています。
キヤノンは営業利益自体は252億円と小さく、前年度比5.6%の減益となっていますが、事業全体の営業利益の大幅減益と比較すると、医療機器事業の安定性が分かります。
営業利益率(全体)
3社の営業利益について、医療機器以外も含めた全体の営業利益率で比較します。
営業利益率は、売上高と営業利益の比率を表しており、収益性の高さを示す指標です。
オリンパスは10%を超える営業利益率を確保し、安定的に成長していることが分かります。
富士フイルムは直近3年間は8%前後を確保、医療機器事業が好調を牽引しながら安定した業績を出しています。
キヤノンは2019年の世界経済の減速や新興国の市場低迷、2020年の景気減速の影響から営業利益率の低下が見られます。
ただし今期はコストダウンと経費の効率化により利益の改善が行われ営業利益率は回復する見込みと発表されています。
営業利益率(医療機器)
3社の医療機器事業の営業利益率を比較します
オリンパスは20%を超える営業利益率を確保しており、安定的かつ非常に高い営業利益率となっています。
固定費を徹底的に削減する構造改革や事業構成の選択と集中などにより、
今後、全体の営業利益率を20%以上とする
と発表されています。
富士フイルムは営業利益率が増加傾向にあり、2021年3月期は9.8%と高利益を出しています。
キヤノンは全体の営業利益率と比較し医療機器の利益率が高く、今後はMRIなど高価格帯装置の更なる拡販と販売力強化で市場を上回る成長を目指すと発表されています。
研究開発費(全体)
3社の研究開発費について、医療機器以外も含めた全体の研究開発費で比較します。
研究開発費は売上規模の大きいキヤノンが最も大きく、続いて富士フイルム、オリンパスの順となっています。
2020年3月期は富士フイルムのみ微増、オリンパスとキャノンは減少となっています。
研究開発費率(全体)
3社の研究開発費率について、医療機器以外も含めた全体の研究開発費率で比較します。
研究開発費率は売上高と研究開発費の比率を表したものです。
売上高に対してどれだけ研究開発に費用をかけているかが分かり、企業の成長性を示す指標です。
オリンパスは10%を継続的に超えており、今後の成長を牽引する製品開発に着実な投資を継続しています。
富士フイルムは6%台、キヤノンは8%台とオリンパスと比較すると小さいですが、厳しい市場環境の中でも将来への投資は継続しています。
従業員数
3社の単独従業員数を比較します。
多様な事業を持つキヤノンが最も多いです。
富士フイルムは富士フイルムホールディングスの100%子会社となっており、富士フイルム自体の従業員数は4,702名となっています。
平均年収
平均年収は3社ともに上場企業の平均である630万円(東京商工リサーチ発表:2020年9月11日)を上回ります。
特に富士フイルムが高く、3社の中でトップとなっています。
富士フイルムホールディングスの有価証券報告書では平均年収1,000万円以上となっています。
その数値を富士フイルムの平均年収として採用している就職サイトもありますが、富士フイルムとは別会社ですので、ここでは就職四季報の数値を採用しています。
初任給
初任給も平均年収と同じく、富士フイルムがトップとなっています。
平均年収は3社ともに上場企業の平均を上回ります。
有給休暇取得日数
3社ともに有給休暇の取得日数は高く、上場企業平均を上回ります。
キヤノンはストレス度の低い企業であり、有給休暇も問題なく取得できる環境にあります。
平均勤続年数
平均勤続年数は男性、女性ともにキヤノンが最も高いです。
3社ともに女性が活躍できる企業となるべく、さまざまな取り組みを進めています。
キヤノンは創業当時から「人間尊重」の理想を掲げ、
学歴、年齢、性別に関係なく、公平、公正に評価し、社員を第一に考えた経営
を行っており、女性の活躍、ダイバーシティの推進を全社をあげて推進していることが平均勤続年数にも表れています。
新卒3年後離職率
新卒3年後離職率は、3社ともに非常に低いです。
富士フイルムは人材育成を重視しており、特に入社3年間で大きく成長していくための様々な制度があることが、新卒3年後離職率の低さにつながっています。
残業時間
残業時間は、キヤノン、オリンパスは上場企業平均を下回り、富士フイルムは同程度となっています。
職種によっても異なりますので、参考程度のデータと認識ください。
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まとめ:【医療機器メーカーの違いは?】オリンパス・富士フイルム・キヤノンを徹底比較!
この記事では、医療機器業界研究として、医療機器業界の動向や従来の企業イメージを変え、医療機器分野への注力を進めているオリンパス、富士フイルム、キヤノンのさまざまな情報について、解説してきました。
医療機器業界は、将来性の高さとともに、世界の人々の健康と安心に貢献できる大きなやりがいのある業界と言えるでしょう。
結論
医療機器メーカーの業界研究についておさらいしましょう。
- 世界の医療機器市場は、世界的な高齢化の進展と新興国の需要拡大により拡大傾向にある。
- 日本の医療機器市場は、世界一の高齢化率の高まりにより規模は継続的に増加していくと考えられる。
- 医療機器業界は、成長期待が高く、将来性のある業界である。
- 医療機器事業は景気減速下においても安定した売上高と営業利益を確保しており、オリンパス、富士フイルム、キヤノンの中で最も医療機器へ事業集中をしているオリンパスが一段抜け出した利益率を確保している。
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